はじめに
個人事業主や小規模な会社を始めたばかりの方から、「会計ソフトは何を選べばいいの?」という質問をよく受けます。
実際、私自身も事業を始めた当初は、どのソフトを選ぶべきか本当に悩みました。
数ある会計ソフトの中から、自分に合ったものを選ぶのは簡単ではありません。
しかし、正しい選び方を知れば、経理作業が驚くほど楽になり、本業に集中できるようになります。
この記事では、初心者の方でも迷わずに会計ソフトを選べるよう、主要なソフトの特徴や選び方のポイントを詳しく解説します。
会計ソフトを選ぶ前に知っておくべき基礎知識
会計ソフトの必要性
「まだ売上が少ないから手書きでもいいかな」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、会計ソフトを使うメリットは計り知れません。
会計ソフトを使うメリット
- 帳簿付けの時間が大幅に短縮される
- 計算ミスがなくなる
- 確定申告書類が自動作成される
- 銀行口座やクレジットカードとの連携で入力作業が自動化される
- 経営状況がリアルタイムで把握できる
個人事業主と法人の違い
会計ソフトを選ぶ際は、まず自分の事業形態を確認しましょう。
個人事業主の場合
- 所得税の確定申告が必要
- 青色申告と白色申告が選択可能
- 比較的シンプルな会計処理
法人の場合
- 法人税の申告が必要
- 複式簿記が必須
- より詳細な会計処理が求められる
主要会計ソフト徹底比較
三大会計ソフトの特徴
まず、市場シェアの高い三大会計ソフトから見ていきましょう。
1. freee(フリー)
特徴
- 簿記知識不要で使える設計
- 質問に答えるだけで帳簿が完成
- スマホアプリも充実
- 初心者に最も優しいインターフェース
料金(個人事業主向け)
- スターター:月額1,298円
- スタンダード:月額2,618円
- プレミアム:月額43,780円
こんな人におすすめ
- 簿記の知識がない
- とにかく簡単に済ませたい
- スマホでも作業したい
実際の使用例: 例えば、コンサルティング業の田中さんが10万円の売上を上げた場合、freeeでは「どんな取引でしたか?」という質問に「売上」と答えるだけで、自動的に適切な勘定科目が設定されます。
2. 弥生会計
特徴
- 老舗会計ソフトの安定感
- 豊富な機能と柔軟性
- サポート体制が充実
- 従来の会計ソフトに近い操作感
料金(個人事業主向け)
- 白色申告:永年無料
- 青色申告:年額8,800円〜
こんな人におすすめ
- 簿記の基礎知識がある
- 細かい設定をカスタマイズしたい
- 長期間安定して使いたい
実際の使用例: 税理士事務所で働いた経験のある佐藤さんは、弥生会計の詳細な機能を活用して、月次の損益計算書を自分好みの形式でカスタマイズしています。
3. マネーフォワード クラウド
特徴
- 家計簿アプリの技術を活用
- 金融機関との連携が強力
- 他のマネーフォワードサービスと連携可能
- 中小企業にも対応
料金(個人事業主向け)
- パーソナルミニ:月額1,078円
- パーソナル:月額1,408円
- パーソナルプラス:月額39,336円
こんな人におすすめ
- 銀行口座の管理もしっかりしたい
- 複数の金融機関を使っている
- ある程度の簿記知識がある
実際の使用例: オンラインショップを運営する山田さんは、複数の銀行口座と複数のクレジットカードを使っていますが、マネーフォワードなら全て自動で取引データを取得してくれるので、手入力の手間が大幅に削減されています。
無料で使える会計ソフト
コストを抑えたい方におすすめの無料会計ソフトもご紹介します。
aoiro(アオイロ)
特徴:
- 完全無料(Windows版)
- 青色申告に特化
- シンプルで使いやすい
- 余計な機能がない分、迷わない
制限事項
- 個人事業主のみ対応
- 青色申告専用
- Mac版は有料
こんな人におすすめ
- とにかくコストを抑えたい
- 青色申告を予定している個人事業主
- シンプルな機能で十分
実際の使用例: フリーランスのデザイナー鈴木さんは、年間の経費が少なく取引も単純なため、aoiroの無料版で十分に確定申告の準備ができています。
その他の無料ソフト
フリーウェイ経理Lite
- 個人事業主向け
- 基本的な機能のみ
- サポートは有料
Main財務管理
- 法人向け
- 中小企業に特化
- 無料版でも十分な機能
簿記知識レベル別おすすめソフト
簿記知識がない方
第1位:freee
- 簿記の「ふ」の字も知らなくても大丈夫
- 質問形式で自然に帳簿が完成
- スマホでの操作も直感的
第2位:aoiro(個人事業主のみ)
- 無料で使える
- 必要最小限の機能に絞られている
- 青色申告なら十分
簿記3級程度の知識がある方
第1位:マネーフォワードクラウド
- 基本的な簿記知識があれば効率的に使える
- 金融機関連携が強力
- 他のクラウドサービスとの連携も可能
第2位:弥生会計
- 従来の会計ソフトに近い操作感
- 豊富な機能とカスタマイズ性
- 長期間の安定利用が可能
簿記2級以上の知識がある方
第1位:弥生会計
- 詳細な設定とカスタマイズが可能
- 複雑な会計処理にも対応
- 税理士との連携もスムーズ
第2位:マネーフォワードクラウド
- 高度な分析機能
- 他部門との連携機能
- 成長に合わせてプランアップ可能
事業形態別おすすめ会計ソフト
個人事業主向け
売上1000万円未満の場合
- aoiro(無料で済ませたい場合)
- freee(簿記知識なし)
- 弥生会計(コストパフォーマンス重視)
売上1000万円以上の場合
- freee(操作の簡単さ重視)
- マネーフォワードクラウド(連携重視)
- 弥生会計(機能の豊富さ重視)
法人向け
従業員5名以下の場合
- freee(初心者でも安心)
- マネーフォワードクラウド(金融機関が多い場合)
- 弥生会計(税理士と連携する場合)
従業員6名以上の場合
- マネーフォワードクラウド(拡張性重視)
- 弥生会計(安定性重視)
- freee(使いやすさ重視)
実際の選び方のステップ
ステップ1:自分の状況を整理する
まず、以下の質問に答えてみましょう
- 個人事業主ですか?法人ですか?
- 簿記の知識はどの程度ありますか?
- 月間の取引数はどのくらいですか?
- 使っている銀行口座・クレジットカードは何枚ですか?
- 月にかけられる費用はいくらまでですか?
ステップ2:候補を3つに絞る
上記の質問の答えを基に、3つの候補に絞りましょう。多すぎると迷ってしまいます。
ステップ3:無料トライアルを活用する
ほとんどの有料会計ソフトには無料トライアル期間があります。
実際に使ってみることで、自分に合うかどうかがわかります。
各ソフトの無料トライアル期間
- freee:30日間
- 弥生会計:最大2ヵ月間
- マネーフォワードクラウド:30日間
ステップ4:実際のデータで試す
トライアル期間中は、実際の取引データを入力してみましょう。デモデータではなく、リアルなデータで試すことが重要です。
よくある質問と回答
Q1:途中で会計ソフトを変更することはできますか?
A:可能ですが、データの移行作業が必要になります。
そのため、最初の選択が重要です。ただし、年度の区切りで変更すれば、それほど大きな問題にはなりません。
Q2:クラウド型とインストール型、どちらがいいですか?
A:現在はクラウド型がおすすめです。理由は以下の通りです:
- 自動でソフトがアップデートされる
- どこからでもアクセス可能
- バックアップの心配がない
- 税制改正に自動対応
Q3:税理士に依頼している場合、どのソフトを選べばいいですか?
A:まず税理士に相談しましょう。
税理士が使い慣れているソフトに合わせることで、連携がスムーズになります。
Q4:複数の事業を行っている場合はどうすればいいですか?
A:事業別に会計ソフトを分けるか、部門別管理機能があるソフトを選びましょう。
freeeやマネーフォワードクラウドなら、プロジェクト別の管理が可能です。
まとめ:あなたに最適な会計ソフトを見つけよう
会計ソフト選びで最も重要なのは、「自分の状況に合ったソフトを選ぶこと」です。
初心者の方なら
- 個人事業主 → freee または aoiro
- 法人 → freee
ある程度の知識がある方なら
- 個人事業主・法人ともに → 弥生会計またはマネーフォワードクラウド
選択のポイント
- 簿記知識のレベル
- 事業規模と取引量
- 予算
- 使いやすさの重要度
- 将来の拡張性
どのソフトを選んでも、無料トライアル期間があるので、実際に使ってみることが一番大切です。
自分に合った会計ソフトを見つけて、経理作業を効率化し、本業に集中できる環境を作りましょう。
会計ソフトは事業を支える重要なツールです。この記事を参考に、あなたのビジネスを成長させる最適なパートナーを見つけてください。