はじめに
こんにちは。
LeadClover社労士事務所の清永です。
個人事業主や小規模事業を営む皆さんにとって、お客様からの「お断り」は避けて通れない現実ではないでしょうか?
突然ですが、お客様に自社の商品やサービスを紹介して断られた経験はございませんか?
業種によっても違いますが、僕のようなコンサル業であればセミナーや個別相談の後にコンサルティングサービスを紹介して断られたり、サロン系のビジネスであれば次の施術予約を断られたり、何かしらセールスを行い断られた経験のことです。
やはり断られるのってショックですし、もちろん売上にも響きますので、なるべく断られることを減らしたいと思いますよね?
実は、この「断られる」という現象を逆手に取って、成約率やリピート率を劇的に向上させる方法があります。それが今回ご紹介する「断られリスト」の活用法です。
断られリストとは?基本的な考え方を理解しよう
断られリストの定義
断られリストとは、お客様に断られた理由や断られそうな理由を体系的にまとめたリストのことです。
具体的には以下のような内容を記録します。
- お客様に実際に断られた理由
- お客様が断る際によく使う言葉
- 断られるタイミングや状況
- 断られる頻度が高い理由
なぜ断られリストが重要なのか
多くの事業者が断られることを単なる「失敗」として捉えがちですが、実は断られる理由には明確なパターンがあります。
このパターンを分析し、対策を立てることで、以下のような効果が期待できます。
- 成約率の向上:断られる理由を事前に潰すことで、自然と成約率が上がります
- リピート率の改善:継続利用を断られる理由を解決することで、長期的な関係を築けます
- 商品・サービスの改善:お客様の本音を知ることで、より価値のある商品開発につながります
- 営業効率の向上:断られる可能性の高い提案を避け、効率的な営業活動が可能になります
実際に断られリストを作成してみよう
ステップ1:これまでの断られ体験を洗い出す
まずは、これまでお客様にどんな理由で断られてきたかを思い出してみましょう。
以下の質問を自分に投げかけてみてください。
- 「これまでお客様にどんな理由で断られただろうか?」
- 「どんなことを言われて断られてきただろうか?」
- 「特に多い断られ文句はないだろうか?」
ステップ2:断られる理由を分類する
洗い出した断られる理由を、以下のような分類で整理してみましょう。
【価格に関する断り】
- 「お金がない」
- 「予算が合わない」
- 「他と比較したい」
【時間に関する断り】
- 「時間がない」
- 「忙しすぎる」
- 「タイミングが悪い」
【不安・疑問に関する断り】
- 「できるか分からない」
- 「効果があるか心配」
- 「失敗したらどうしよう」
【決定権に関する断り】
- 「家族に聞かないと分からない」
- 「上司に相談してから」
- 「検討させてください」
【競合・他社に関する断り】
- 「今他にも講座を受けている」
- 「既に他社と契約している」
- 「もう少し調べてから」
ステップ3:具体的な事例を記録する
僕の場合であれば、これまで断られたこととして以下のような経験がありました。
- お金がない
- 時間がない
- できるか分からない
- 家族に聞かないと分からない
- 今他にも講座を受けている
これらの断られた理由を全てリストに残しておくことが実は非常に重要です。
断られリストから見えてくる本当の問題
表面的な理由と本質的な問題の違い
断られリストを作成すると、お客様が言葉にする「表面的な理由」と、その背景にある「本質的な問題」の違いが見えてきます。
例:「お金がない」という断り文句の場合
表面的な理由:本当にお金がない
本質的な問題:商品・サービスの価値がお客様に伝わっていない
僕の場合、最初の頃は「お金がないので…」という理由で断られることが本当に多かったです。
でも、これは本当にお金がないという理由ではなく、僕の商品にそれだけのお金を払う価値がないから断られる、というのが分かってきました。
つまり、「価値<価格」だったので断られていたんですね。
自社の商品・サービスの問題点が浮き彫りになる
断られリストを分析すると、自社の商品・サービスの問題点も明確になります。
正直、自社の商品の問題点を浮き彫りにするのはつらいですが、ビジネスを成長させるためには避けて通れない重要なプロセスです。
例えば、以下のような問題が見えてくるかもしれません。
- 商品の価値が適切に伝わっていない
- 価格設定が市場と合っていない
- ターゲット顧客の設定が間違っている
- 提供タイミングが適切でない
- 競合他社との差別化ができていない
断られリストを活用した具体的な対策方法
対策1:商品・サービスの価値を明確化する
「お金がない」「高い」という断りが多い場合は、商品・サービスの価値を見直し、お客様により分かりやすく伝える必要があります。
具体的な改善方法
- 商品の内容を見直す
- 商品の魅力(価値)をお客様により分かりやすく伝える
- 実績や事例を具体的に示す
- お客様の声を積極的に活用する
僕の対策としては、商品の内容を見直し、商品の魅力(価値)をお客様により分かりやすく伝えることを徹底的に行いました。
その結果、手前味噌ですが、成約率が飛躍的にUPしました。
対策2:不安や疑問を事前に解消する仕組みを作る
「できるか分からない」「効果があるか心配」という断りが多い場合は、お客様の不安を解消する仕組みを整備しましょう。
具体的な改善方法
- よくある質問(FAQ)を充実させる
- 体験版や無料相談を提供する
- 成功事例を詳しく紹介する
- 保証制度を設ける
- ステップバイステップの説明を行う
対策3:決定しやすい環境を整える
「家族に聞かないと」「上司に相談してから」という断りが多い場合は、決定権者を巻き込む工夫が必要です。
具体的な改善方法
- 決定権者向けの資料を用意する
- 家族や上司への説明をサポートする
- 決定期限を明確にする
- 段階的な契約オプションを提供する
対策4:競合他社との差別化を明確にする
「他社と比較したい」「既に他社と契約している」という断りが多い場合は、自社の独自性を明確にしましょう。
具体的な改善方法
- 自社だけの強みを明確化する
- 競合比較表を作成する
- 独自のサービス内容を追加する
- お客様との関係性を重視したアプローチを行う
業種別の断られリスト活用事例
コンサルティング業の場合
よくある断られ理由
- 「コンサルの効果が分からない」
- 「他のコンサルタントと比較したい」
- 「結果が出るか不安」
対策例
- 過去のクライアント事例を詳しく紹介
- 3ヶ月間の無料フォローアップを提供
- 成果保証制度の導入
- 競合他社との具体的な差別化ポイントを明示
サロン・美容業の場合
よくある断られ理由
- 「料金が高い」
- 「時間がない」
- 「効果があるか分からない」
対策例
- 分割払いオプションの提供
- 短時間メニューの開発
- ビフォーアフター写真の充実
- 初回限定特価の設定
士業(税理士・社労士等)の場合
よくある断られ理由
- 「今の先生がいるから」
- 「料金体系が分からない」
- 「何をしてくれるのか分からない」
対策例
- サービス内容の詳細資料作成
- 明確な料金表の提示
- 顧問変更時のサポート体制の充実
- 専門分野の明確化
断られリスト作成時の注意点
1. 感情的にならずに客観的に記録する
断られた経験を振り返るのは精神的につらい作業かもしれませんが、感情的にならずに客観的な視点で記録することが重要です。
2. 量より質を重視する
断られた回数よりも、断られた理由の質やパターンを重視しましょう。同じような理由で何度も断られている場合は、その理由への対策が最優先です。
3. 対策可能なものと不可能なものを分ける
全ての断られ理由に対策できるわけではありません。対策可能なものから優先的に取り組みましょう。
4. 定期的に見直しと更新を行う
断られリストは一度作成したら終わりではありません。定期的に見直し、新しい断られ理由があれば追加し、対策の効果を検証しましょう。
断られリスト活用の成功事例
事例1:個人コンサルタントAさんの場合
状況: セミナー後の個別相談で8割の方に断られていた
断られリスト分析結果
- 「料金が高い」(40%)
- 「効果が分からない」(30%)
- 「時間がない」(20%)
- その他(10%)
実施した対策
- 料金体系を3段階に分けて選択肢を提供
- 過去の成功事例を動画で紹介
- オンライン対応を開始して時間的制約を軽減
結果: 成約率が20%から65%に向上
事例2:美容サロンBさんの場合
状況: リピート率が30%と低迷していた
断られリスト分析結果
- 「料金が続かない」(35%)
- 「効果を実感できない」(25%)
- 「予約が取りにくい」(25%)
- その他(15%)
実施した対策
- 月額制プランの導入
- 効果測定システムの導入
- 予約システムの改善とスタッフ増員
結果: リピート率が30%から75%に向上
実践のための具体的なアクションプラン
今すぐできる3つのステップ
ステップ1:過去30日間の断られ理由を書き出す(所要時間:30分)
- 手帳やメモを見返して、断られた理由を思い出す
- 具体的な言葉や状況も一緒に記録する
ステップ2:断られ理由を分類して優先順位をつける(所要時間:20分)
- 頻度の高い断られ理由を特定する
- 対策可能な理由から優先順位をつける
ステップ3:最も多い断られ理由への対策を1つ決めて実行する(所要時間:1週間)
- 具体的な対策方法を決める
- 実行スケジュールを立てる
- 効果測定方法を決める
継続的な改善のための仕組み作り
月次レビューの実施
- 毎月末に断られリストを更新する
- 実施した対策の効果を検証する
- 新しい対策が必要な理由を特定する
四半期ごとの戦略見直し
- 断られる理由の傾向変化を分析する
- 商品・サービス自体の見直しを検討する
- 新しい市場や顧客層の開拓を検討する
まとめ:断られリストで売上アップを実現しよう
断られることは決してネガティブなことではありません。
むしろ、お客様の本音を知り、自社のビジネスを改善するための貴重な情報源として活用できます。
もしこの対策を考えなかったら「値下げをするしかない…」と安易な考えに走っていたかもしれないので、「なぜ断られるのか?」を考えることは本当に大事だと思っています。
失礼ですが、9割以上の方は断られた場合の対策を考えていない場合がほとんどです。だからこそ、断られリストを作成し、適切な対策を実施することで、競合他社との大きな差別化を図ることができます。
断られリストを作成すると得られる効果
- 断られることの対策を考えることができる
- お客様の断る理由を無くすことができる
- 成約率・リピート率のUPにつながる
- 商品・サービスの改善点が明確になる
- 営業効率が向上する
何度も同じことで恐れ入りますが、断られリストを作成すると断られることの対策を考えることができ、お客様の断る理由を無くすことができると成約率・リピート率のUPにつながるので、もし良かったら実践してみてくださいね。
小さな一歩から始めて、継続的に改善を続けることで、必ずビジネスの成果につながるはずです。
今日からでも、まずは断られた理由を1つでも書き出すことから始めてみてください。