はじめに
個人事業主や小規模事業者の皆さまにとって、事業拡大や集客強化は常に重要な課題です。
そんな中、資金調達の強い味方となるのが「小規模事業者持続化補助金」です。
2024年6月に一度申請期間が終了した人気No.1の補助金制度が、再び公募開始されることが決定しました。
しかし、今年はこれが最後のチャンスとなる可能性が高く、次回の公募開始が2025年10月3日(金)と、例年に比べて遅いスケジュールとなっています。
今回の締切日は2025年11月28日(金)です。この機会を逃すと、来年度の補助金獲得が困難になる可能性があります。
※締切日は変更する可能性があります。
小規模事業者持続化補助金とは?
基本概要
小規模事業者持続化補助金は、経済産業省が実施する中小企業・小規模事業者向けの補助金制度です。
事業の持続的発展を支援するため、販路開拓や生産性向上に向けた取り組みを資金面でサポートします。
対象者
社員5名以下の小規模事業者であれば、法人・個人事業主を問わず申請可能です。
※業種によって基準が異なります
- 宿泊業・娯楽業:社員20名以下
- 製造業:社員20名以下
- その他のサービス業:社員5名以下
補助率と補助上限額
基本補助率:2/3
使った金額の2/3が後で戻ってきます。
実際の手出しは1/3のみで済むため、少ない自己負担で事業拡大が可能です。
補助上限額:50万円
インボイス特例や賃上げ特例の条件を満たすと、最大250万円まで補助額が増額される可能性があります。
補助対象経費の詳細
基本的な補助対象経費
以下の経費が補助対象となります。
- 機械装置等費:事業に必要な機械や装置の購入費
- 広報費:チラシ、看板、パンフレット制作費
- ウェブサイト関連費:HP制作、ECサイト構築費(補助金交付申請額の1/4かつ最大50万円まで)
- 展示会等出展費:商談会や展示会への参加費用
- 旅費:販路開拓のための出張費
- 新商品開発費:商品・サービス開発に係る費用
- 借料:機械装置等のリース料
- 委託・外注費:専門家への依頼費用
ウェブサイト関連費の注意点
ウェブサイト関連費については、**補助金交付申請額の1/4(最大50万円)**が上限となっています。
例えば:
- 補助金申請額が50万円の場合:ウェブサイト関連費は12.5万円まで
- 補助金申請額が100万円の場合:ウェブサイト関連費は25万円まで
- 補助金申請額が200万円以上の場合:ウェブサイト関連費は50万円まで
この制限があるため、ウェブサイト制作を中心とした事業計画を立てる場合は、他の経費とのバランスを考慮した計画が必要です。
持続化補助金の最大のメリット
小規模事業者でも活用しやすい
個人事業主を含む小規模な事業者でも利用できる点が大きな特徴です。
多くの補助金は一定規模以上の企業を対象としていますが、持続化補助金は本当に小さな事業者にも門戸を開いています。
集客に直結する費用を補助
特に注目すべきは、チラシやHP制作費、ウェブ広告費など集客のために必要な経費を補助してくれる点です。
これらの費用は事業成長に直結する投資でありながら、小規模事業者には負担が重いものです。
補助金を活用することで、大幅な費用削減を実現できます。
実際の活用例
例1:美容室経営者Aさんの場合
事業内容:個人経営の美容室 課題:新規顧客の獲得が困難
補助金活用方法
- ホームページ制作費:15万円(申請額の1/4以内)
- チラシ・ポスター制作費:20万円
- 広告費:10万円
- 店舗看板リニューアル:15万円
- 合計:60万円
補助金額:60万円 × 2/3 = 40万円(上限50万円以内)
実際の負担額:20万円
※ウェブサイト関連費は補助金申請額60万円の1/4(15万円)以内で計画
新しいホームページとチラシで地域での認知度が向上し、月間新規顧客数が3倍に増加しました。
例2:飲食店経営者Bさんの場合
事業内容:家族経営の定食屋 課題:テイクアウト需要に対応したい
補助金活用方法
- 厨房機器(保温庫):25万円
- テイクアウト用看板:10万円
- 容器・包装材料:5万円
- 合計:40万円
補助金額:40万円 × 2/3 = 約27万円
実際の負担額:約13万円
テイクアウト事業により売上が20%向上し、地域の働く人たちの需要を取り込むことができました。
例3:コンサルタントCさんの場合
事業内容:個人事業主のマーケティングコンサルタント 課題:オンライン集客の強化
補助金活用方法
- ウェブサイトリニューアル:15万円(申請額の1/4以内)
- 広告費:10万円
- セミナー動画制作費:10万円
- 営業資料制作費:5万円
- 顧客管理システム導入費:30万円
- 合計:70万円
補助金額:70万円 × 2/3 = 約46万円
実際の負担額:約23万円
※ウェブサイト関連費は補助金申請額の1/4以内で計画
プロフェッショナルなウェブサイトにより信頼性が向上し、問い合わせ件数が5倍に増加しました。
申請時の注意点とデメリット
採択制であること
助成金と異なり、補助金は採択(合格)する必要があります。
事業計画書等を作成して、他の申請者よりも評価が高ければ採択され、補助金を受給できます。
事業計画書の作成が必要
採択されるためには、しっかりとした事業計画書の作成が必要です。
以下の点を明確にする必要があります。
- 現状の課題分析
- 補助金を活用した具体的な取り組み内容
- 期待される効果と売上向上の見込み
- 実施スケジュール
後払い制度
補助金は後払いのため、一度全額を自己負担で支払う必要があります。
補助金が支給されるまでの資金繰りを考慮する必要があります。
採択率を上げるコツ
具体的な数値目標を設定
「売上向上」ではなく「月間売上を現在の50万円から70万円(40%増)に向上させる」など、具体的な数値目標を設定しましょう。
地域性を活かした計画
地域の特性や顧客ニーズを分析し、それに対応した事業計画を立てることで、審査員に説得力を持って訴えることができます。
継続性のある取り組み
一時的な効果ではなく、継続的に事業の発展につながる取り組みを提案することが重要です。
申請手続きの流れ
ステップ1:事業計画書の作成
以下の書類を準備します。
- 事業計画書
- 補助事業計画書
- 経費明細書
- 事業要請書
ステップ2:必要書類の準備
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 確定申告書の控え
- 見積書(3社以上推奨)
ステップ3:申請書類の提出
郵送または電子申請システムを通じて提出します。
ステップ4:審査・採択発表
提出から約2-3ヶ月後に採択結果が発表されます。
ステップ5:事業実施・報告
採択後、計画に従って事業を実施し、実績報告書を提出します。
商工会のサポート活用
無料相談の活用
多くの商工会では、持続化補助金の申請サポートを無料で行っています。
事業計画書の作成から申請書類のチェックまで、専門家がサポートしてくれます。
セミナーや説明会への参加
定期的に開催される説明会やセミナーに参加することで、最新の情報や採択のポイントを学ぶことができます。
今回の公募スケジュール
重要な日程
- 公募開始:2025年10月3日(金)
- 申請締切:2025年11月28日(金)
- 採択発表:2026年1月頃(予定)
申請準備のタイムライン
10月初旬:事業計画の検討開始
10月中旬:事業計画書の作成開始
11月初旬:必要書類の準備・見積書の取得
11月中旬:申請書類の最終チェック
11月下旬:申請書類の提出
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や小規模事業者にとって事業拡大の絶好のチャンスです。
特に集客強化や販路開拓に必要な費用を2/3も補助してくれる制度は、他にはなかなかありません。
今回の公募は今年最後のチャンスとなる可能性が高く、次回の公募開始が来年10月まで待つ必要があります。
申請には時間と準備が必要ですが、採択されれば大きな資金支援を受けることができます。
事業の成長を考えている方は、この機会をぜひ活用してください。
不安な点がある場合は、商工会の無料相談を利用することで、専門家のサポートを受けながら申請準備を進めることができます。
一歩踏み出す勇気が、あなたの事業の大きな発展につながるかもしれません。今年ラストチャンスの持続化補助金に、ぜひ挑戦してみてください。