おはようございます。
LeadClover社労士事務所の清永です。
最近、私が読んでいるメルマガで「集客の未来予測」というテーマが何通か届きました。
それにちなんで、今回は地方で事業を営む皆さんに向けて、2025年以降のビジネス環境がどう変化するか、そしてどんな戦略を取るべきかについて私なりの予測をお話しします。
特に、物価高の影響で既存の商品・サービスが売れにくくなってきた事業者の方には、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
物価高が引き起こすビジネスの2極化現象
まず最初にお伝えしたいのが、物価高の影響もあり、消費者の購買行動が大きく変化していることです。
現在、以下の2つの商品・サービスに需要が集中する「2極化現象」が進んでいます。
1. 安くて良いもの
消費者が価格を最重視し、必要最低限の機能があれば満足する商品
2. 高くても高価値なもの
価格は高いが、それ以上の価値を感じられる商品・サービス
この2極化は、地方の小さな事業者にとって大きな転換点となります。
2極化が進む背景
経済的要因:
- 物価上昇による家計圧迫
- 可処分所得の減少
- 節約志向の高まり
心理的要因:
- 「安物買いの銭失い」への警戒感
- 本当に価値のあるものへの投資意識
- SNSでの情報収集による目利き力向上
地方事業者への影響
この2極化現象は、特に地方の事業者に以下のような影響を与えています。
プラス面:
- 大手チェーンとの差別化がしやすくなった
- 個性的なサービスが評価されやすい環境
マイナス面:
- 中途半端なポジションでは選ばれにくい
- より明確な価値提案が必要
売れなくなる商品・サービスの特徴
2極化が進む中で、以下のような商品・サービスは今後ますます売れにくくなると予想されます。
安さで勝負していた商品
具体例:
- 価格のみを訴求点にしていた飲食店
- 激安を売りにしていた美容室
- 安さだけが取り柄のサービス業
なぜ厳しいのか: 大手チェーンや100円ショップなど、圧倒的な安さを実現できる企業には勝てないため
中価値程度の商品・サービス
具体例:
- そこそこの品質、そこそこの価格の商品
- 特別な特徴のない一般的なサービス
- 差別化要素の薄い事業
なぜ厳しいのか: 消費者が「安いか、高価値か」の二択で判断するようになったため
実際の事例:地方の写真館の場合
A写真館(売上減少中):
- 価格:中程度
- サービス:一般的な記念写真撮影
- 特徴:特になし
B写真館(売上好調):
- 価格:高め
- サービス:完全予約制、衣装レンタル込み、家族の思い出作りをトータルサポート
- 特徴:写真だけでなく「体験」を提供
B写真館は価格は高いものの、「特別な体験」という付加価値により選ばれ続けています。
2025年以降に成功する3つの商品戦略
この厳しい環境を乗り越えるために、以下の3つの戦略のいずれかを選択する必要があります。
戦略1:利益度外視の安い商品(安さで勝負)
特徴:
- 徹底的な安さを追求
- 利益率は低いが回転率で勝負
- 大量販売が前提
向いている事業者:
- 資本力のある大企業
- スケールメリットを活かせる事業
地方事業者にとってのリスク: 大企業との価格競争になるため、体力勝負となり現実的ではない
戦略2:安いのに価値の高い商品
特徴:
- 従来の安さに価値を加えた商品
- コストパフォーマンスの追求
- 「お得感」の演出
具体例:
- 定食屋が地元食材を使った健康メニューを同価格で提供
- 美容室が通常料金にヘッドスパを無料で追加
- 清掃業が同料金で簡易除菌サービスを追加
戦略3:価格<<<<<価値の商品
特徴:
- 価格以上の圧倒的な価値を提供
- プレミアム戦略
- 顧客満足度の最大化
具体例:
- 高級旅館並みのサービスを提供する民宿
- 個別指導塾レベルのサポートをする学習塾
- コンサルティング要素を含むリフォーム業
地方事業者が選ぶべき現実的な戦略とは
地方の個人事業主や小さな会社にとって、戦略1(安さ勝負)は現実的ではありません。
理由は明確です:
- 大企業と同じ土俵で戦うことになる
- 資本力の差で必ず負ける
- 利益が出ないビジネスモデルになりがち
したがって、戦略2または戦略3の方向性が最も現実的です。
戦略2と戦略3の共通点
実は、戦略2と戦略3は根本的には同じベクトルを向いています。
一言で表現すると:
「商品・サービスをさらに高価値化する」
これが、これからの時代にますます求められるようになると予想しています。
価値の高価値化が必要な理由
- 消費者の目が肥えている
- インターネットで簡単に比較検討ができる
- 口コミ情報が豊富
- 「普通」では満足してもらえない
- 競合との差別化が必須
- 同業他社が増えている
- サービスの均質化が進んでいる
- 独自性がないと選ばれない
- 長期的な顧客関係の構築
- 一度きりの取引では利益が出にくい
- リピート顧客の確保が重要
- 高い満足度がリピートに繋がる
「商品+α」が求められる時代の到来
私のコンサルティング業界を例に、この変化を説明します。
コンサル業界の変化
従来の一般的なサービス:
- 「2025年の最新インスタ集客を解説した3時間セミナーが◯◯円」
- 単純な動画コンテンツの販売
- 情報提供のみ
今後求められるサービス:
- 「コンテンツ + 個別サポート」
- 「セミナー + 実践ワークショップ」
- 「情報提供 + 成果保証」
+αの具体例
情報提供系サービスの場合:
- 基本:セミナー動画
- +α:個別相談、実装サポート、成果測定
物販系サービスの場合:
- 基本:商品販売
- +α:使い方指導、アフターサポート、カスタマイズ
店舗系サービスの場合:
- 基本:商品・サービス提供
- +α:体験価値、コミュニティ、継続サポート
なぜ+αが必要なのか
- 情報の価値が下がっている
- 無料で得られる情報が増加
- 差別化が困難
- 付加価値が必須
- 顧客の期待値が上がっている
- より手厚いサポートを期待
- 成果への責任を求める
- 総合的な満足度を重視
- 競合との差別化
- 同様のサービスが乱立
- 独自性の追求が必要
- +α部分が決定打となる
業界別「+α」の具体例と実践方法
「これまでの商品+α」の考え方は、あらゆる業界に適用できます。
飲食業界の場合
基本サービス: 料理の提供
+αの例:
- 体験価値: オープンキッチンで調理過程を見せる
- 教育価値: 料理教室の開催
- 健康価値: 栄養士監修メニューの提案
- コミュニティ価値: 常連客同士の交流イベント
成功事例:地方の居酒屋 基本の料理に加えて、地元の歴史や食材の話を店主が語り、「食事+地域文化体験」を提供。観光客のリピート率が大幅に向上。
美容業界の場合
基本サービス: カット、カラー、パーマ
+αの例:
- 教育価値: ホームケア方法の詳細指導
- 継続価値: 定期的なメンテナンスプラン
- 健康価値: 頭皮診断とケア提案
- 特別感: 完全個室での特別なおもてなし
成功事例:地方の美容室 通常の施術に加えて、お客様専用のヘアケアレシピを作成し、3ヶ月間のLINEサポートを提供。顧客単価が30%向上。
建設・リフォーム業界の場合
基本サービス: 工事・施工
+αの例:
- 設計価値: ライフスタイル提案込みの設計
- 保証価値: 手厚いアフターサービス
- 教育価値: メンテナンス方法の指導
- 安心価値: 工事中の細かな進捗報告
成功事例:地方の工務店 住宅建築に加えて、住まい方コンサルティングと10年間の定期メンテナンスサービスを提供。紹介率が50%を超える。
教育・学習支援業界の場合
基本サービス: 授業・指導
+αの例:
- 個別価値: 一人ひとりに合わせた学習プラン
- 家族価値: 保護者向けの教育相談
- 将来価値: 進路相談とキャリア指導
- 成果価値: 成績向上保証制度
小売業界の場合
基本サービス: 商品販売
+αの例:
- 専門価値: 商品選びのコンサルティング
- 体験価値: 商品の使い方体験
- 継続価値: 定期的な商品提案
- コミュニティ価値: 愛用者同士の交流機会
サービス業界の場合
基本サービス: 各種手続き・作業代行
+αの例:
- 教育価値: 知識やスキルの伝授
- 継続価値: 定期的なフォローアップ
- 安心価値: 24時間サポート体制
- 効率価値: 業務改善提案
売上低下時に絶対やってはいけない4つの間違い
「ちょっと商品が前より売れにくくなってきた」 「以前に比べると売上が下がってきた」
このような状況で、多くの事業者が犯しがちな4つの間違いがあります。
間違い1:「今流行りの集客を実践してみよう」
よくある例:
- TikTokを始める
- YouTubeチャンネルを開設
- Instagramのリール動画を投稿
なぜ危険なのか:
- 根本的な商品価値の問題が解決されない
- 新しい集客方法を学ぶのに時間がかかる
- 既存の価値提案が薄いまま露出が増えると評判が悪化する可能性
間違い2:「AIを使った集客が凄いから取り入れてみよう」
よくある例:
- AI自動返信システムの導入
- AI画像生成ツールの使用
- ChatGPTでの記事作成
なぜ危険なのか:
- ツールは手段であり、価値そのものではない
- AI任せでは個性や人間味が失われる
- 競合も同じツールを使うため差別化にならない
間違い3:「次は○○なお客様に向けた商品を販売してみよう」
よくある例:
- ターゲット層の変更
- 新しい顧客セグメントへの展開
- 全く違う業界への参入
なぜ危険なのか:
- 既存顧客への価値提供が不十分なまま新規開拓に走る
- ノウハウの蓄積がない分野での競争は不利
- リソースが分散し、どちらも中途半端になる
間違い4:「とりあえず価格を下げてみよう」
よくある例:
- 安売りセールの頻発
- 価格競争への参戦
- 利益率を下げた薄利多売
なぜ危険なのか:
- ブランド価値の毀損
- 安売りが当たり前になり元の価格に戻せない
- 利益が出ない体質になる
正しいアプローチとは
これらの間違いに共通するのは、本質的な価値向上から目を逸らしていることです。
売上が下がったときこそ、以下の質問を自分に投げかけるべきです:
- 「お客様にとって本当に価値のある商品・サービスを提供できているか?」
- 「競合と比べて、明確に優れている点はあるか?」
- 「価格以上の価値を感じてもらえているか?」
- 「お客様の期待を上回る体験を提供できているか?」
競合に勝つ「価値創造」の本質
流行や技術に惑わされず、ビジネスの本質に立ち返りましょう。
価値創造の本質
「お客様に価値のある商品・サービスを届けること」
さらに細かく言うと:
「競合よりもお客様にとって価値のある商品・サービスを届けること」
これが、すべてのビジネスの根幹です。
価値の3つの要素
1. 機能的価値
- 商品・サービスの基本的な機能
- 問題解決能力
- 利便性
2. 感情的価値
- 使用時の感情や体験
- ブランドイメージ
- 特別感や満足感
3. 社会的価値
- ステータス性
- 社会への貢献
- コミュニティへの所属感
コスパの向上も重要
価値向上と合わせて重要なのが「コストパフォーマンス」の向上です。
理想的な状態:
価格 <<<<< 価値
この不等式を成り立たせるためには:
価値を上げる方法:
- 商品・サービスの質向上
- 付加価値の追加
- 顧客体験の改善
相対的に価格を下げる方法:
- 業務効率化によるコスト削減
- 仕入れ方法の見直し
- 無駄な経費の削減
実践的な価値向上チェックリスト
以下のチェックリストを使って、自社の価値創造度を確認してみてください。
機能的価値の確認:
- [ ] 競合と比べて明確に優れた機能があるか
- [ ] お客様の問題を完全に解決できているか
- [ ] 使いやすさ・わかりやすさは十分か
感情的価値の確認:
- [ ] お客様に喜んでもらえる体験を提供できているか
- [ ] 他では味わえない特別感があるか
- [ ] リピートしたくなる要素があるか
社会的価値の確認:
- [ ] 地域や社会に貢献できているか
- [ ] お客様が誇りに思える商品・サービスか
- [ ] 口コミで人に紹介したくなる内容か
コスパの確認:
- [ ] 価格以上の価値を提供できているか
- [ ] 同価格帯の競合より優れているか
- [ ] お客様が「お得」と感じる要素があるか
価値創造の継続的改善
価値創造は一度やって終わりではありません。
定期的な見直しサイクル:
- 現状分析(月1回):お客様の声を収集・分析
- 競合調査(四半期ごと):競合の動向をチェック
- 価値向上施策の実行(継続):小さな改善を積み重ね
- 効果測定(月1回):顧客満足度や売上への影響を確認
まとめ:厳しい時代を乗り越える経営者の心構え
これまで以上に商品・サービスの「価値(+α)」を求められる時代になってきており、正直、厳しい時代になっています。
しかし、この変化をチャンスと捉えることもできます。
厳しい時代だからこそのチャンス
1. 差別化しやすい環境
- 「普通」のサービスでは選ばれない時代
- 少しの工夫で大きく差別化できる
- 真剣に取り組む事業者が少ないため、チャンスが大きい
2. 顧客との関係が深まる
- 高価値を提供することで顧客満足度が向上
- リピート率・紹介率の向上が期待できる
- 長期的な顧客関係の構築が可能
3. ブランド力の向上
- 価値のある商品・サービスは口コミで広がる
- 地域での評判・知名度向上
- プレミアムブランドとしてのポジション確立
今すぐ始められる3つのアクション
アクション1:現状の価値を棚卸しする
- 自社の商品・サービスの価値を文字に起こす
- お客様の声を集めて分析する
- 競合との違いを明確にする
アクション2:+αを考える
- 既存サービスに何を追加できるか検討
- お客様が本当に求めているものを調査
- 小さくても良いので付加価値を1つ追加
アクション3:価値を伝える仕組みを作る
- ホームページやチラシで価値を明確に表現
- お客様の体験談や事例を収集
- 価値が伝わる接客・営業トークを準備
経営者として持つべき覚悟
いつの時代にも、経営者側の努力と工夫は必要です。
特に今の時代に求められるのは:
1. 学び続ける姿勢
- お客様のニーズの変化に敏感になる
- 新しい価値創造の方法を学ぶ
- 業界の枠を超えた情報収集
2. 試行錯誤を恐れない勇気
- 小さな実験を繰り返す
- 失敗から学んで改善する
- 完璧を求めすぎず、まず行動する
3. お客様第一の経営哲学
- 売上よりも顧客満足を優先する
- 長期的な関係性を重視する
- 真摯にお客様の声に耳を傾ける
この厳しい時代だからこそ、真剣に価値創造に取り組む事業者にとっては大きなチャンスの時代でもあります。
ぜひ一緒に、この変化の波を乗り越えて行きましょう!
お客様にとって本当に価値のある商品・サービスを提供し続ける事業者こそが、これからの時代を生き抜き、そして繁栄していくのです。
今すぐできること:
- 自社商品・サービスの価値の棚卸し
- お客様アンケートの実施
- 競合他社との比較分析
- +α要素の検討と実験
- 価値を伝える仕組みの見直し