こんにちは。
LeadClover社労士事務所の清永です。
地方で事業を営んでいる個人事業主や小さな会社の経営者の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?
「うちは色々なサービスができるけど、お客様にどう伝えればいいんだろう?」
「全部の商品を紹介したほうがいいのか、それとも一つに絞ったほうがいいのか?」
「ワンストップサービスとして全部まとめて売り込んだほうが魅力的なのか?」
実は、これは地方の中小企業が直面する典型的な集客の悩みです。
今日は、この問題を解決する具体的な方法をお伝えします。
なぜ商品選択で迷ってしまうのか?
地方の中小企業の多くは、大手企業にはない「何でもできる」という強みを持っています。
お客様一人ひとりに寄り添い、様々なニーズに応えられるのが地方企業の魅力です。
しかし、この強みが集客では逆に弱みになってしまうことがあります。
地方企業によくある商品・サービスの例
例えば、私が運営する社労士事務所でも、以下のような多岐にわたるサービスを提供しています。
- 社会保険関係の手続き業務
- 給料計算の代行などの事務代理
- 就業規則の作成
- 労働・組織関連のコンサルティング業務
- 助成金・補助金申請業務
主に「人」に関する業務なら何でも対応できます。
これは社労士として大きな強みですが、集客の面では「どう伝えるか」が課題になりました。
二つの選択肢:どちらが魅力的?
ここで、皆さんに質問です。以下の二つの専門家がいたとして、どちらに仕事を依頼したいと思いますか?
A:「社員のやる気アップの専門家」
B:「人に関することなら何でもお任せの専門家」
お客様の心理を考えてみる
多くの方は「A」の方が魅力的に感じるのではないでしょうか。
理由は明確です。
- 何をしてくれるかが具体的に分かる
- 依頼した後の結果(ビフォーアフター)が想像しやすい
- 自分の悩みにピンポイントで応えてくれそう
例えば、社員のやる気の低さに悩んでいる経営者なら、「この人に依頼すれば、社員のやる気を上げてくれるかもしれない」と具体的な期待を持てます。
一方、「何でもお任せ」では、確かに安心感はありますが、「具体的に何が変わるのか」が見えにくいのが実情です。
「尖った商品戦略」が地方企業の集客を変える
なぜ一点集中が効果的なのか
複数の商品やサービスがある場合でも、まずは最初に尖った一つの商品を決めて、それを前面に出すほうがうまくいきやすいというのが私の経験則です。
理由は以下の通りです。
1. 深く刺さる訴求ができる
全方位的な「ワンストップサービス」は、どうしても「浅く広く」になってしまいます。
一人ひとりへの刺さり度合いも浅くなり、結果として誰の心にも響かない可能性があります。
2. お客様の記憶に残りやすい
「○○の専門家」という明確なポジションは、お客様の記憶に残りやすく、必要な時に思い出してもらえる確率が高くなります。
3. 口コミで紹介されやすい
「社員のやる気で困っている人がいたら、あの人に相談してみて」と、具体的な紹介につながりやすくなります。
実践例:社労士事務所の場合
私のコンサルティング業務は「地方集客」に特化しているため、この点では迷いはありませんでした。
しかし、社労士業務については当初、以下の二つで悩みました。
- 特定分野(例:社員のやる気アップ)に特化する
- 人事関連全般を包括的にアピールする
結果として、特化戦略を選択し、まずは一つの強みを前面に押し出すことにしました。
「入口商品」戦略のメリット
一つに絞っても他の商品が売れなくなるわけではない
ここで重要なのは、一つの商品に絞ったからといって、その商品しか提供しないわけではないということです。
例えば、「社員のやる気アップ」で依頼を受けたとしても、その過程で、
- 社会保険関係の手続きが必要になるかもしれません
- 就業規則の見直しが必要になるかもしれません
- 給与体系の改善提案が求められるかもしれません
つまり、入口は一つの商品に絞っていても、その後に他の商品やサービスを提案する機会は十分にあります。
段階的なサービス提供の流れ
- 入口商品で関心を引く:特化した専門性で最初の接点を作る
- 信頼関係を構築:実際のサービス提供を通じて信頼を得る
- 追加ニーズの発見:お客様の課題を深く理解する
- 包括的な提案:他のサービスも含めたトータルサポートを提案
この流れにより、最終的にはワンストップサービス以上の価値を提供できます。
地方企業が実践すべき商品選択の3ステップ
ステップ1:自社の強みを洗い出す
まず、提供できるすべての商品・サービスを書き出してみましょう。
そして、以下の観点で評価します。
- 最も得意なもの:技術力や経験が豊富
- 最も需要があるもの:地域で求められている
- 最も差別化できるもの:競合他社との違いが明確
ステップ2:ターゲットを明確にする
選んだ商品・サービスについて、以下を具体化します。
- 誰が困っているか:具体的な顧客像
- どんな悩みを解決するか:明確な課題設定
- どんな結果を提供するか:期待できる成果
ステップ3:メッセージを磨く
ターゲットに響くメッセージを作成します。
- キャッチフレーズ:一言で表現できる専門性
- ビフォーアフター:変化を具体的に示す
- お客様の声:実際の成果事例
よくある質問と回答
Q1:一つに絞ると他の収益機会を逃すのでは?
A:実際には逆です。入口商品で関心を引き、信頼関係を築いた後に他のサービスを提案する方が、成約率は高くなります。
最初から全部を売り込もうとすると、かえって警戒されてしまうことが多いのです。
Q2:地方では需要が限られているので、幅広く対応したほうがよいのでは?
A:地方だからこそ、明確な専門性が重要です。
都市部と違って選択肢が限られる地方では、「この分野ならあの人」という認知を得ることで、広域からお客様を集めることができます。
Q3:競合他社も同じ戦略を取ったらどうなりますか?
A:競合が同じ戦略を取ること自体が、その分野に需要がある証拠です。
重要なのは、同じ分野でも「あなたならではの強み」を明確にすることです。
成功事例:地方の小さな会社の変化
事例1:地方の建設会社
Before:「住宅からビルまで何でも建てます」
After:「地震に強い家づくりの専門家」
結果:耐震リフォームの依頼が急増し、そこから新築住宅の受注にもつながった。
事例2:地方の会計事務所
Before:「経理から税務まで企業のお金のことは何でも」
After:「飲食店の利益改善専門税理士」
結果:飲食店からの相談が増え、税務だけでなく経営コンサルティングの依頼も獲得。
まとめ:お客様に振り向いてもらうことから始めよう
商品やサービスが複数ある場合、どうしても「全部伝えたい」という気持ちになります。
しかし、集客の観点では、まず最初に魅力的に感じてもらえないと、そもそもお客様に振り向いてもらえません。
何もはじまらないのです。
そのため、私としては以下をおすすめしています。
- 商品が複数あっても、まずは一つに尖る(絞る)
- その専門性でお客様に振り向いてもらう
- 信頼関係を築いてから他の商品も紹介する
この戦略により、地方の中小企業でも効果的な集客が可能になります。
最初は勇気がいるかもしれませんが、「何でもできる」から「これが得意」への転換が、あなたのビジネスを大きく変えるきっかけになるでしょう。